こんにちは、golgoです。
今回も職業訓練校で習う木材加工方から小根付きほぞ継ぎの加工法を紹介していきたいと思います。
■小根付きほぞ継ぎとは
框組みで木材の捻れを予防するために用いる加工方(仕口)で、主に框組みの上下の材料に使います。
■主な作業手順。
1.材料の確認。
2.勝手墨をする。
3.墨付け。
4.穴掘り加工。
5.ホゾ加工。
6.材料を仕上げる。
7.仮組み。
8.チリ払い・本組み。
■必要な道具。
〇鉋
〇鋸(両刃鋸・胴付き鋸)
〇向町鑿(むこうまちのみ)
(持っていない場合は追い入れ鑿で代用できます。)
〇打ち抜き鑿(持っていない場合は、なくても大丈夫です。)
〇掻き出し鑿(持っていない方は追い入れ鑿等で掻き出しても大丈夫です。)
〇しらがき(持っていない場合は鉛筆だけでも大丈夫です。)
〇鉛筆
〇スコヤ・指金(どちらかがあれば大丈夫です。)
〇ほぞけびき(売っている物ではないので、自作する必要があります。筋毛引きでも代用可能です。)
■材料確認
どの加工をする際にも、墨付け・加工を行う前には必ず使用材の確認をしてください。
木材の寸法・曲がり・反り・捻れ等を確認し、スコヤを使用して使用材が直角になっているかを確認しましょう。
○寸法確認
材料が使用したい寸法になっているか、スケール・指し金・直尺等を使用して確認します。
より精密に確認したい場合は、ノギスを使用して確認してください。
ノギスなら0.1㎜単位で材料の寸法を確認する事ができます。
使用材の寸法がズレていると、墨付けもズレてしまうのでしっかり確認しておきましょう。
○曲がり・反り・捻れの確認
曲がりや反りは、下端定規や真っ直ぐな物を使用して確認したり、材の角を通して見ることで確認する事ができます。
捻れは平らな所に材料を置き、四つ角を押す事で確認できます。
角を押して、平らならカタつきがなく、カタカタする場合は捻れているという事がわかります。
〇曲がり・反り・捻じれの影響
曲がり・反り・捻じれがあると接合時に胴付き部分が空いてしまったり、家具の組み立て時に捻じれを直さず加工・組み立てをしてしまうと、捻じれて組み上がってしまうので、組み立てが困難になったり、設置をした時にカタツキが出て設置性が悪くなってしまいます。
勝手墨をする。
勝手墨は、墨付けする際に最初にする基準面を表すための墨の事で、墨付け時に勝手墨をした面から寸法を追うことで、墨付けの誤差をなくすことができます。
勝手墨をする面を選ぶときは、材料の木目等を考慮しながら、材料の直角になっている面を基準面に選び、鉛筆で印を付けます。
墨付けをする際は、勝手墨をした面にスコヤの妻手(短い方)を当てて墨を回していきます。
■墨付け。
〇穴の墨付け
まず胴付き部分の墨をします。
この時、上端が1~5㎜程度出るように、胴付き部分の墨をします。
ホゾ穴部分は材料の高さ寸法の3分の2の高さになるように墨をしておき、残りは小根部分になります。
小根深さの墨は、ほぞ長さの3分の1になるように、筋毛引きで墨をします。
穴の幅方向の墨は、ほぞけびきで材料の両側から試し墨をして中心墨をだし、ほぞけびきの中心墨がセットできたら、勝手墨をした面からホゾの墨をします。
ここまでで、ホゾ穴の墨は完了です。
〇ほぞ墨
まず使用材料の3分の2の長さになるように、ほぞの長さの墨を勝手墨をした面から回していきます。
小根の長さの墨を、ホゾの3分の1の長さにして墨をします。
ほぞ高さの墨を筋毛引きで、材料の3分の2の高さになるように墨をします。
最後にほぞけびきで墨を回して、ほぞの墨付けは完了です。
↑ホゾ墨上端
↑ホゾ墨側面
■ほぞ穴加工
穴掘り時は、穴掘りを終えるまでは、小根になる部分には鑿を入れないでください。
小根部分に鑿を入れてしまうと、どこまでが穴掘り部分なのか分からなくなってしまいます。
穴掘りは、まず穴墨の中央よりやや奥側から鑿を入れていきます。
中央よりやや奥側から鑿を入れていき、少しずつ鑿を手前側にズラしながら穴部分を刻んでいき、手前の墨部分の近くまできたら、墨から1㎜程度仕上げしろを残して鑿入れはやめて、次は反対側に向かって刻んでいきます。
反対側も手前側同様、墨から1㎜程度仕上げしろを作っておきます。
ある程度刻んだら、鑿で刻み屑を掻き出し、材料の3分の2の深さになるまで同じ作業を続けます。
深さが掘り終わったら仕上げしろ部分を鑿で落とします。
穴掘りが終わったら、小根部分の加工をします。
まず穴墨に合わせて深さ3分の1になるところまで鋸を挽いていきます。
鋸挽きが終わったら、仕上げしろを残して鑿で小根部分を落とします。
仕上げ深さに近づいてきたら、仕上げ部分を鑿入れ落として穴掘りの加工完了です。
■ほぞ加工
ほぞ加工は、必ず縦挽きからやっていきます。
横挽きを先にやってしまうと小根部分の墨がなくなってしまい墨をやり直さなくてはいけなくなるので、必ず縦挽きから行いましょう。
まずホゾ幅部分、次に小根部分の順番で縦挽きを墨外で縦挽きを行います。
次に小根部分の横挽きを行い、最後に胴付き部分を落とします。
鋸挽きを終えたらホゾ先に入り面を取りホゾ加工完了です。
■仕上げ
加工が終わったら、水で濡らしたウエス等を使い材料を水引きをしていきます。
仕上げ前に材料を濡らすことで、自動鉋盤等でついたナイフマークを浮き上がらせたり、材料の傷なども浮かすことができます。
水引きした後は、乾いてから鉋で仕上げをしていきます。
まず、中仕口の鉋でナイフマーク等を落とします。
ナイフマークなどを落としたら、仕上げ鉋で材の表面を薄く削り仕上げます。
■仮組み
組み立てる際は、入り面を取った部分を穴に差し込み、ホゾ加工した材を真っ直ぐになるように確認しながら、玄翁で叩き入れていきます。
この時にホゾがきつい場合は、ホゾを玄翁で叩いて木殺しをしましょう。
木殺しをすることで、材が少し潰れるのでホゾがきつい場合は、少し入りやすくすることができます。
まったく入らない場合は、ホゾや穴を鑿で削って調整しましょう。
しっかりホゾが入り、胴付きが付けば仮組み完了です。
■チリ払い・本組
仮組み後、胴付き部分にチリがある場合は、鉋等で平らになるように削って、チリ払いをしましょう。
チリ払いを終えたら、1度材料をバラし糸面を取ります。
この時、胴付き部分は糸面を取らないように注意しましょう。
木口面のチリ払いは、濡らしたウエスで木口面を湿らしてから鉋で削るときれいに削ることができます。
最後に本組をして、スコヤで矩手(直角)を確認して、作業完了です。
■最後に
今回は小根付きほぞ継ぎの紹介をさせていただきました。
普段の業務では、なかなかやる機会がない手加工ですが、ブログ用で学生の頃の事を思い出しながら久しぶりやる手加工は意外と楽しんでやらせていただいています。
当ブログを見てくださっている皆さんに少しでも役立っていると幸いです。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。